1.ビジネスと社会

困った役所を市民が助ける

先日、某世田谷区の職員が笑恵館にお越しになり、区営施設の再編に伴いせっかく良い活動をしてくださっているNPOの活動の場がなくなってしまうので、「団体に笑恵館をを紹介してもよいか?」という相談でした。僕はもちろんいいですけど、区にもいろんな施設があるんじゃないですか?と尋ねると、「それはそうなんですが、不特定の一般参加者を募る活動はNGなんですよ」とのこと。「なんじゃそれは!」と思い、調べてみた。

某世田谷区けやきネットの「利用者登録をお断りする主な項目」は次の通り。

  1. 営利を目的とする場合
  2. 予約を他の団体に譲り渡すことを目的とする場合
  3. 同一の団体及びテニスグループでの重複登録の場合
  4. 抽選申し込みの当選確率を上げることを目的とする場合
  5. 不特定多数で利用する場合
  6. 他の利用者の迷惑となるような活動をする場合

確かに「5. 不特定多数で利用する場合」というおよそ公共施設らしからぬ項目があるではないか。

僕がこの項目に反応するのは、昨年日本土地資源協会の公益申請を取り下げた大きな要因が、「会員制の笑恵館クラブ」は公益事業とは言えない・・・という指摘だったからだ。その時はしぶしぶ納得し、事業再構築の覚悟を決めたが、公共の代表格である行政サービスが不特定多数の利用を制限しているではないか。想像するに、不特定多数を許してしまうと、そこは区外住民に開放すると同じこと。また、不審者の侵入を防ぐためにも、顔見知りの仲間での利用を条件としているのかも知れない。だがそうだとすれば、笑恵館クラブだって同じこと。むしろ、地域外の人でも自由に入会できる分、よほど公益性が高いとも言える。この件は、早速区役所に乗り込んで、はっきりしておきたい。

今回、こんな規定を見つけて驚いたが、一般に公益とか非営利と言われる多くの事業が極めて閉鎖的なことを僕は知っている。私欲を捨て、社会の公益を目指すなら、大いに連携したり、団結すればよいものの、現実は些細なことで仲間割れや分裂を繰り返している。以前、地域に戻ってきたシニア世代を受け入れる団体や活動を紹介する冊子を作るのに、とても苦労したのを思い出した。説明会やお試し入会など新規メンバーを受け入れる団体はごく一部で、ほとんどの団体は単なる仲良しグループにすぎないからだ。結局今回、不特定の参加者を受け入れる団体の活動は、公共施設でなく民間施設で受け入れなければならないという奇妙な現実が明らかになった。

相談に来た職員のお二人を、暖かく迎えたのは言うまでもない。そしてさらに「これからも、こういう役所でできない困りごとがあったら、いつでも相談に来てください」と申し上げると、「ええ、助かります。これからは気軽に相談に参ります!」とすがすがしい顔で帰って行った。役所の悩みを市民が助ける・・・こういう時代になったんですね。