ミャンマーの投票箱

軍事政権下で世界最貧国と言われてきたこの国で、ついにアウン=サン=スーチー氏の勢力による政権交代が行われようとしている。しかし、家族に外国人を持つ人は大統領になれないこの国で、変則的な権力体制が成立するのか、まさに未知のページを開かなければならない緊張が、テレビを見ているだけでも伝わってくる。そんな報道の中で、投票の様子を見ていたら、見慣れた容器が投票箱に使われていることに気がついた。半透明の箱の上にいろんな色の蓋が付いていた。なかには蓋も透明で黒いとめ金が付いている。これは明らかに、専用の投票箱ではなくホームセンターで売っていクリアボックスそのものだ。これを見て僕はついあれこれと考えてしまった。

日本では国政・地方選挙に用いられる投票箱の構造について、公職選挙法施行令で「投票箱は、できるだけ堅固な構造とし、且つ、その上部のふたに各々異なつた二以上の錠を設けなければならない」と定められていて、一般にはジュラルミン製の金庫のような頑丈な作りになっている。一方で、先日フランスの総選挙をテレビで見ていたら、ガラス製の投票箱で中身が丸見えだったのを覚えている。僕の頭をよぎったのは、ミヤンマーの投票箱がやがてどうなっていくのだろうということだ。ふたに穴をあけたクリアボックスを使って、みんなで見守る安全な選挙を行い、使用後は収納用に転用したり、市民に配布する仕組みになっていくのか、ジュラルミンやガラスを使った立派な投票箱を作るようになるのか、それとも全く異なる電子・通信技術を使った投票箱のいらないシステムを構築するのか。新しい国づくりは困難も多いと思うが、今のミヤンマー国民のときめきを考えると、こちらまでワクワクしてしまう。