我が国には創業以来200年以上続く会社が少なくとも3,113社(営利企業のみ)あることがわかっている。これは世界中の43%に相当し、2位のドイツを引き離し圧倒的な世界第1位だ。(光産業創成大学院大学教授 後藤俊夫氏調べ)さらに、創業100年以上の日本企業の89.4%は従業員300人未満の中小企業であり、多くが家族経営で、大部分は食品製造、酒蔵、薬品、伝統文化関連の経営だという。

ここで言う家族経営とは、世襲制、年功序列、終身雇用など日本的慣習のことを指すようだが、僕はもっと大切な視点が抜けていると思う。それは「地域」という考え方。長寿ビジネスの多くはローカルビジネスだ。実際、すべての長寿企業が脈々と順調に継続してきたはずがない。幾多の困難や危機を乗り越えて今日を迎えたのだと思う。その間、オーナーや経営者が変わったかもしれないし、業態も変化したに違いない。しかしそれでも、今日まで存続しているのは、そのように見えているだけのこと。つまり、どこかの場所にあり続けていることで、継続しているのではないだろうか。

現に地域に限定されない企業は、儲かる地域を求めて拡大し、儲からない地域から撤退する。すべてがうまく行かなくなれば、あっという間に移転したり売却したり、結局は消滅する。もしも今、和民がつぶれて消滅したら、数十年後には完全に忘れ去られしまうだろう。地域の名物として、地域の誇りとして生き続ける企業とは、その企業自身の経営能力を超えて、地域の資源として活用され続けると言えるのではないだろうか。