4.土地オーナー支援

土地と資源

以前あるセミナーで、「土地は何でできているでしょう」という質問をしたことがある。これに対し、参加者から「地面」「陸地」「石や土」など様々な答えが出たが、僕の頭が一番反応したのは「地球の表面」という答えだった。土地とは何か、土地の所有権とは何かを考える上で、「地球の表面」という解釈は示唆に富んでいる。所有できるのは陸だけではなく海も同じこと。「誰も所有できない」とはまさに所有の議論だ。川は海と同じか、浅い川はどうか、流れの変わる川はどうか、陸地という言葉の定義もなかなか難しい。つまり、これらを包含し、確実に指し示すのが「表面」いう言葉だ。したがって、土地は石や土のことでもない。地球という天体の表面を、他の動植物の許可も得ずに人間が勝手に分割し、そこに所有権を発生させているだけのこと。だからこれは、極めて人間的な仕業だと言える。

人間は今、この土地を勝手に売り買いしたり、貸し借りしたり「不動産=資産」として取り扱っている。資産とは、換価価値のあるもののこと。つまりお金に換えられるから価値がある。しかし、この…考え方には問題がある。この考え方ではすべての土地を取り扱うことができない。誰も買い手のつかない土地や誰にも売る気のない土地は一体どうなるのか。これが空き家問題として顕在化している。さらに言えば、実際に売買や貸借されている土地は、土地全体のごく一部にすぎない。ほとんどの土地は売買されていない。現に私たちは、住宅ローンができる以前は土地など買うことはできなかった。今後、膨大な土地があり余るというのに、その大部分が売れ残りとして放置され続けるのか。せっかく道路や新幹線を整備したのに、すべての土地を使いたい人に供給する方法はあり得ないのか。そこで僕は土地を資産でなく資源に見立て、【土地資源(Land Resource)】という言葉を作ってみた。土地は誰が作ったモノでもない、地球の表面だ。でも、石油やマグロと違い、移動や消費はできない。土地を資源と考えるには、資産と資源の違いについて、もう少し丁寧に説明する必要がある。

まず第一に、資源は石油やマグロと同じく無料で取得できる。これを人に売れば、土地でなくとも石油やマグロだって資産になる。備蓄した石油や冷凍保存したマグロは、貯めることもできれば売って儲けることもできる。しかしそれを取得するとき、手間はかかるかもしれないがそれ自身は無料だ。しかし、資源は所詮有限だ。石油もマグロもいずれは消費されるために売却されるだろう。しかし、土地は変化することはあっても減ることはない。だから、人類は一体何万年前に土地を取得したのかなど、わかるはずもない。こうして、土地だけが「不動産」という特別な資産になった。そして、その所有についても、所有、占有、保有、領有など様々な形があり複雑だ。尖閣諸島は長きにわたり、個人所有で日本の領土という主張に対し、中国は領有権を主張していた。しかし、当時の石原都知事が「これでは心配だから国有にする」問い言った途端に自体は急変した。個人は中国の敵ではないが、日本という国は中国の敵になりうるからだ。こうした問題も、誰かが尖閣諸島を食べてしまえば問題はなくなるだろう。土地は永久に消費されないことが、他の資源との決定的な違いだ。

もう一つ土地を資源と呼ぶ理由は、それを使って価値を生み出すことができること。石油は暖房やエンジン、プラスチックなど、様々な価値に変わるけど、資源とはそういうもの。土地もそこで畑を作ったり、景色を眺めてのんびりしたり、生活したり、商売したり、僕らの体やモノの置き場所としても不可欠なものだ。また、人材や知財などの経営資源や社会資源(インフラ)など、何かを生み出す素材や道具、方法全般を資源とイメージしている。これらが最終的に価値となり、備蓄されると資産に変わる。備蓄できるのは、余るから。お金だって日々の運転資金は資源に近い。固定資産と流動資産という言葉があるが、不動産を典型的な固定資産と考えていること自体問題だ。土地の中には商品としてぐるぐる流通するモノもある。昔、農地が自由に売買されていたころ、農地の価格は、その収量に応じた妥当な金額だったとか。だから耕作放棄地などありえない。生産価値に応じた価格で資源が売買されるのは、市場経済の大原則だ。ところが今、土地は誰もが高く売り抜けるチャンスを伺っている余剰資産だ。空き家は問題などでなく、みんなが望む不動産投機売買の単なる醜い売れ残り在庫にすぎない。今日の食べ物を買えずにいる人の傍らで、賞味期限が切れた食品を廃棄するような、循環していない澱んだ社会が僕には見える。

丁寧に説明したつもりが、かえって難解になってしまったかな。しかし今は、これを解きほぐすより、僕の意見を吐き出し続け、僕も後から読み返し、よく考えてみたい。僕は土地資産を否定するつもりはないし、土地投機もやりたい人にはやってもらいたい。しかし、土地の売買、投機、開発という従来手法では、日本の国土のごく一部分しか対処できないことは明らかだ。日本の国土面積は37万平方キロで、その内民有地が16万平方キロ。21万キロはとりあえず役所が担当するとして、民有地は僕たちが管理しなければならない。この面積は、国民一人当たり約1300m2だけど、そんなこと誰も考えていない。これって僕たちにとって、素晴らしい話なんじゃないか、ものすごいチャンスじゃないか、と僕はみんなに伝えたい。資本主義にあぐらをかいて、既得権益で儲けている人たちは放っておいて、僕らはさらに進化した、バリバリの自由主義を追求しようぜ!