永続ビジネスの条件

ビジネスの成功には、成長と存続の2面がある。いや、[ビジネスの成功は儲かること]とおっしゃる方もいるかも知れないが、僕はそうは思わない。儲からない赤字のビジネスは、ビジネスの成功以前に成立すらしていない。[1円以上の利益を出すこと]はビジネスの成立要件だ。それでは、成長と存続のどちらを優先すべきか・・・について意見を述べたい。

今日のニュースで、安倍政権が「成長を前提とした骨太の方針」を発表した。日本の財政運営もまた、日本政府が手掛ける一つのビジネスだ。このビジネスの成功は成長か存続か…答えは存続であることは疑いの余地もない。ところが、安倍政権は[成長することで存続する]と言っている。今僕たちは、この言葉を聞き流してはいけない。これは国民全体が目指すのならまだしも、政府が発するべき言葉ではない。むしろ[成長しない場合に備えること]こそが政府の務めのはずだと、僕は思う。

成長することと存続することはまるで次元の異なる議論のはずだ。体が無限に大きくなる時、その体は永遠に大きくなり続け生き続けるという理屈はでたらめだ。無限の成長もあり得ないし、その時生きている保証もない。借金まみれの人が、いつか儲けて返すからと言っているだけのことだ。企業がそれを言うのは許される。株式市場とは、所詮そんな合言葉でババ抜きをしている賭場のようなもの。無限に成長する企業などあるわけないことは、誰もが承知している。

しかし、国や行政の場合は話が違う。たとえ破産しても一件落着とはいかない。必ず同じ場所で、同じ資源で、再生し復活するしかないし、これまでもそうしてきた。つまり、社会とはたとえ潰れようと、一文無しになろうとも継続しなければならないビジネスなんだ。だから僕は、大切な社会を国や役所に委ねる気にはなれない。[継続するために出費を減らす]ただそれだけのことができない政府など、当てにはできない。僕ら自身が継続する社会を作るしかないと思うわけだ。

それでは成長でない永続性とはどういうことか。それは[破たんしないしぶとさ]だと思う。ビジネスで収益を上げるために先行投資をするのは、投資を上回る収益を見込む・・・つまり成長型の発想だ。永続性を優先させるなら、投資を伴わない顧客メリットの提供を先行し、売上の中からあるいは顧客側で必要な投資をしてもらう。会社の倒産から一文無しで復活した僕は、[こんな苦労はもうこりごり]と思うのでなく、[こうすれば会社はつぶれないし、潰れても生き返る]ことに気が付いた。つまり、ビジネスの永続性とは[不死身になる]に他ならない。

今、僕のターゲットは[空き家問題]だ。空き家を[不動産の破たん]と考えれば、一人暮らしの空き家予備軍は[破たん予備軍]ということになる。不動産を再投資によって再生するリノベーション=成長戦略に対し、僕が模索する永続戦略とは何だろう。それは、不動産情報の開示と開放利用によって顧客メリットの提供を先行することだ。初めは無料で開放し、利用者が現れてから利用料を徴収し、利用者負担のリノベーションを促進することだ。笑恵館は、そんなビジネスの実験場だ。そこには社会の常識やルールを逸脱しかねない出来事が頻発している。しかし、現状を拡大する成長戦略と違い、顧客主導の永続戦略が未知の分野を進むのは避けられない。僕らが歩いた後から、社会のルールについて来てもらうしかない。