4.土地オーナー支援

解決のイメージ

笑恵館の近所の空家群を見に行った。まず、相談者Oさんのお宅はご夫婦の暮らしが2階でほぼ完結しているので1階の5部屋が空き室状態で、当面の課題は[片付け]だ。そして庭続きの裏の家は趣のある木造2階建てで、和風にまとめられた庭には時々植木屋さんが入っているという。さらにその隣家も大きな家で、数年前から空き家状態だとのこと。この3軒の家は、段差などはあるものの庭を介してつながっており、庭に立ってみると250坪は下らない大きな屋敷に思えてくる。建築基準法によって1敷地に1建物の制限があるので、道路側から見れば明らかに別個の3軒なのだが、庭から見ればそこには塀もなく、都会の中のちょっとした[村]に佇んでいる錯覚に陥った。

この感覚は、以前にも体験したことがある。会社がつぶれ、新会社を立ち上げていた時に、表通りに面していない巨大な旗竿敷地に[街]を作るプランを描いたことがある。奥まった敷地の中に作る建物を二つに割って間に[道のような空間]をつくり、そこに自由に橋をかけたり屋根をかけたりしたのだが、それは[法律上の道路]ではなく単なる[道路のような庭]だからできたこと。ここでは逆に、3軒の家が一つになると家は1軒しか建てられないが、3軒のママ一体的に使うことで[3軒の村]のような庭を作ればいい。[隣地境界]の概念を変えてしまえば、[緩やかにつながる新しい暮らし方]を提案する余地は十分にある。

今僕らが取り組むべきことは、家の[新しい作り方]ではなく、[新しい住まい方]だ。その際、所有とか境界にやみくもに縛られるのでなく、どのように使いたいのか、暮らしたいのかを考えて、それを実現するのに都合のいい[所有の仕方]を考える、そんな順番に頭を切り替える必要があると思う。道路側に対してはきちんと戸締りをするが、庭側の扉はいつも開いていて、村内の行き来は自由にできるような、数軒の家が集まりその全体をシェアハウス的に運営する方法も考えられる。身内以外の人を受け入れる暮らし方は、1軒の中に閉じこもるより、むしろこうした[村]になった方がいいようにも思える。

空き家問題の相談が少しずつ増えてきた。相談内容は様々だが、要約すれば「もったいないけど使えない」となる。さて問題はその[答]だ。[もったいなく無いように使う]ではなく、[もったいないけど使えない状態にならないようにする]が僕の意見だ。つまり、貧しい人に[お金をあげる]のでなく[稼げるようにする]ということだ。しかし、実際にやるのは難しい上にその説明も難しい。でも[対症療法]はうんざりだ。問題を解決しその先の世界に進むため、なんとしても[原因療法]に取り組みたい。そこで、この対症療法と原因療法をつなぎ、誰もが取り組みやすい解決策を考え出す必要がある。その手がかりとなるのが[夢=未来]だ。

[普通はバラバラに孤立して暮らす数軒の家が互いに開き合う暮らし方]これって、かなり夢に近い答えに思える。しかし、それを実現するにはどうすればいいのか?、そんな企画を実現するにはいくらかかるのか? それを考え実行するのは手間もかかるしリスクも高い。だが、それらはみな新たな開発や工事をするリスクであって、空き家や空き部屋を試しに使うのなら先行投資はわずかで済む。むしろ必要なのは、所有者の理解と合意だけ。だから僕たちは、真面目に夢を語る必要がある。まず初めに僕ら自身が[そうなるといいな]と思える夢を描き、その夢を空き家の所有者たちが[そうなるといいな]と感じた時空き家活用がスタートし、[そうなるといいな]と思う人たちがそこに暮らすようになり、[そうなるといいな]と感じた周囲の家に広がっていく。そして、この村のようになるといいなと思う人たちが全国で真似をするようになることが、僕の解決のイメージだ。