新しいことって、何かを辞めること、何かを否定することでもあるんです。

私が夢中になっているランドリソース(土地資源)という考え方は、土地を「資産」でなく、「資源」として活用しようというもので、今まさにこの概念を使って「空き家の無い社会」の実現を目指して活動しています。

そもそも「空き家はなぜいけないのか?」

危ないとか、汚いとか様々言われていますが、私としては、そうした状態に「手をこまねいていなければならないこと」こそがよくないと思っています。

私たちがこの課題に手を出せずにいるのは「所有者の権利=所有権」の侵害になるからです。私たち自身が普段当たり前のように感じている所有権は、きちんと行使されているうちはいいのですが、家や土地を持て余し、行使できなくなっても、その効力が失われることなく鎧のように他を寄せ付けないことが、課題の解決を阻んでいるわけです。

辞書を引くと【所有権(しょゆうけん)とは、物の全面的支配すなわち自由に使用・収益・処分する権利。】とあり、「権利とは一種の自由」だということがわかります。なので、私たちが土地や家に対して望ましいと考えているのは「自由に使い、収益を得て、処分せずにいられる状態」ということになるでしょう。

これに対して望ましくない状態は、「自由に使えず、収益も得られないので、処分する」という状態になり、別の可能性を持つ所有者が買い受けることになります。恐らくこうした「流通」という循環が「市場のメカニズム」といわれ、自由経済の進化させてきたのだと思います。

しかし今、上記メカニズムの破たんにより、土地建物の流通は沈滞し、都市部集落では空き家・空き店舗、農村では耕作放棄地、山間地では荒廃した山林が増え続けています。昨日のニュースで「全国の土地価格の下落が止まり上昇に転じた」などと言っていますが、それはあくまで「売買事例が増加しその価格が上昇した」という意味であって、日本中の土地が値上がりした訳ではありません。みんなが土地を売り出せば、たちまち地価は大暴落するでしょう。

空き家を先ほどの所有権で説明すると「使い道がなく、収益もないが、処分できない」となります。実はこれ、銀行やタンスに溜め込んでいるお金とそっくりです。お金は本来「使うため」にあるのに、「必要なものはそろったし、収入も少ないのであまり使いたくない…もの」になってしまいました。でも、いざ使いたいときに備えて貯めておく…それが現代のお金です。だから、空き家や空地、耕作放棄地が増えるのも当然です。「使えないものは貯めておく」という心理状態に、誰もが陥ってしまっているのではないでしょうか。

今、私は「権利=自由」の恐ろしさを感じています。それは、自由には「何をしてもいい」と、「してもしなくてもいい」という2つのまるで異なる側面があるからです。以前お話したと思いますが、「どう生きてもいい」と「生きても死んでもいい」を一緒ごたにするわけにはいきません。やはり、今の社会において【所有権=物の全面的支配】を個人が持てるはずがないのでは…と考えざるを得ません。

そこで私は、所有権の分解を試みたいと思います。まず所有権は、使用権・収益権・処分権の3つに分解し、それぞれの権利に対する、使用義務、収益義務、処分義務を考えます。また、土地を単なる個人資産ではなく、社会の資源としての観点からこれらの権利義務を考えると、

  1. 土地は使用を目的として所有すべきであり、使用しない人が所有すべきではない。
  2. 土地使用による収益は当然使用者のものであるが、土地の維持保全に係る負担も追わなければならない。
  3. 土地所有者が土地を使用できない場合は、使用できる人に明け渡(処分)すべきである。

今社会が始めた「空き家対策」は、「少しでも空き家を減らすため」の取組にすぎません。本当の「空き家の無い社会」は、土地を放置(貯蓄)するための財産でなく使用するための資源として位置づけ、個人の絶対的な所有を認めず使用権の対象とすることで実現します。しかしこの前提は、2つの大きな課題を我々につきつけます。

  1. 個人でなければ、だれが土地を所有するのか。
  2. 使いようのない土地は、どうするのか。

1.の答えが、私の提案する日本土地資源協会です。国づくりの主役は私たち民間人であって、行政組織はその補佐役にすぎません。こうした民間の公益事業法人が各地の民有地を総合的に統治することにより、国土の経営=国づくりを主体的に行います。

2.人間が使用しない土地は本来の「持ち主=自然」に返すべきです。自然は所有権など主張しませんので、やはり上記の法人が所有し、使用でなく保全を行えばよいと思います。

一見途方もない話のようですが、きわめて現実的、かつ具体的な話です。今月末までには、公益認定申請書の原案を書き上げる予定です。私たち自身が主体となって国を作ることが「途方もない」と思えるようなら、それはあなた自身に問題があります。大きな船に乗って高いところから見渡していれば、すべてが見えているような気になりますが、本当は海の波間や水面直下で世界は変化しています。政府という日本一大きな会社は、この国を代表はしていますが、主役でも担い手でもありません。

毎週日曜日午後の「笑恵館の夢高校」では、さらに掘り下げた解説も行っています。

詳しい話を聞きたい方、参加したい方は、上記の「夢高校」のほか、随時面談いたしますのでお問い合わせください。